孤独な今、”肩書なきコミュニティ”で人を好きになろう
「孤独」は現代病だと言われています。SNSの普及やコロナ禍を経て、孤独を感じる人が増えました。きっとそれは、自分の居場所を見つけられていないから。
そこで、新しい居場所として注目されるようになったのが「コミュニティ」です。コルクラボは、クリエーターエージェンシーの株式会社コルクが運営するコミュニティ。コミュニティを学ぶコミュニティとして、まさにコミュニティブームが起きていた2017年に誕生しました。
はたしてコミュニティは、孤独の処方箋になるのでしょうか?
コルクラボ主宰者の"サディ"こと佐渡島庸平さんに、15期メンバー・村長が「コミュニティに属する価値」について聞いてみました。
■そもそも「コルクラボ」ってどんなところ?
村長:コルクラボに興味を持っている人は「佐渡島庸平の考えに触れたい」と考えている人が多いんだけど、コルクラボってどういう場所なの?
サディ:村長はどう思ってる?
村長:サディが長として君臨している感じではないよね。サディを軸に集まった人々たちが運営しているコミュニティであって、みんなが各々好きなことをやって、一緒に楽しんだり眺めたりしている。ピクニックとか、読書会とか、飲み会とか、合宿が有志で開催されているよね。サディはお父さんみたいにその場を見守っている印象があるよ。
サディ:うん、スナックみたいな感じだね。俺と直接関わりたいなら、毎日21時半からその日の振り返りをZoomでやっているから、そこに来てくれれば定期的に話せるよ。
村長:意外と少人数だから、サディとコミュニケーションしたい人にとっては穴場スポットだね。ゲストを招く「ゲスト会」とメンバー同士の交流を深める「クルー会」がそれぞれ月1回、オンラインとオフラインの両方で開催されるから、参加するうちに自然と友達が増えていくのも素敵だなと思う。年2回の合宿に参加すると、またグッと仲良くなるね。
■人をジャッジせず、挑戦を応援する文化がある
村長:サディ自身は、コルクラボをどんなコミュニティとして活用しているの?
サディ:いろいろな人を知るおもしろさを体感する“遊び場”かな。有名人との会話は家系ラーメンみたいに味の濃い刺激物を味わう感覚があるけど、突きつめれば有名人だろうが一般人だろうが同じようにおもしろいと思うんだよ。それをおもしろいと思えるかどうかは、本人の感覚次第なんじゃないかって。
村長:有名な人とたくさん仕事をしているサディが言うと、説得力があるね。
サディ:コルクラボというコミュニティでいろいろな人を見ていると、その人ごとに違う価値観があって、どれが正しいわけでもないと実感できる。俺は編集者だから、これまではヒット作を目指して努力する過程で一生懸命やらない人が許せなかったり、作品が売れるか売れないかで人をジャッジしたりすることが多かった。
村長:それが編集者の仕事だもんね。
サディ:でもコルクラボは仕事と切り離された場だから、ジャッジ“しない”練習になる。人だけじゃなく、物事においてもね。
たとえば今日、村長にインスタライブをしようって言われて、俺からすると「俺のインスタなんて誰が見ているんだろう? それに、平日の昼間より夜に開催したほうがいいじゃん」と思ったし、仕事だったら「どういう費用対効果があるの?」って聞くけど、コルクラボではジャッジしないで乗っかることにしているから、こうして平日の昼間にインスタライブをしているんだよね。
村長:ありがとう(笑) 夜開催だとサディとオンライン対話になっちゃうから、昼間に対面で会いたかったんだよ。私は昨年末に入ったばかりでサディとはあまり話したことがないから、対面で深く話したかった。いきなり1対1は緊張したけどね!
サディ:コルクラボにはそういうメンバーの挑戦を「聖なる一歩」って呼んで応援する文化がある。ほかの人からすると何でもないことでも、本人にとっては挑戦だったりするし、それに付き合って背中を押してあげると初めての成功体験になって、1年後2年後に「よくそんなことできるね」って思うくらい大きなことを達成していたりするんだよ。そういうのを目の当たりにしてきたから、とりあえず提案には乗っかるようにしてる。
村長:コルクラボをきっかけに起業した人もいるし、コルクラボのメンバーで運営している制作会社「コルクラボギルド」では、たくさん記事執筆の依頼を受けているよね。
サディ:俺に依頼される案件で、コルクで対応できないものはコルクラボギルドに渡しているね。そこでライター未経験のメンバーがライターデビューしたりして、聖なる一歩も生まれているよ。
■自己理解から相互理解が生まれる。あなた自身を知る場所に
村長:「新しいコミュニティに入ったとして、そこでなじめるか?」っていうのがみんな不安だと思うんだけど、コミュニティでみんなと仲良くなるには何が必要かな?
サディ:他者とコミュニケーションするには、自己理解が大事だと思うよ。自分について、深く理解すること。みんな意外と「理想の自分」を自分だと誤認していると思う。だから現実の自分とは異なっていて、「こんなはずじゃなかった」って苦しむんじゃないかな。
村長:理想と現実のギャップに苦しむのか。
サディ:自己理解をして「自分の形」がわかると、自然とコミュニケーションがうまくなると思うんだよ。自分に合った居場所もわかるようになるし。
村長:コルクラボでは、資質を通じて自分の性格をより深く理解する才能診断ツール「ストレングスファインダー」を受けたり、人間の特性を「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」の5つに分けて反応・行動を計測するFFS診断を受けたりして、その人の特性や意思決定の基準を理解する取り組みがあるよね。だから自己理解はもちろん、相互理解が進みやすい環境が作られているなと思うよ。
■役割抜きで人を好きになれる尊さ
サディ:あと、コルクラボは仕事みたいに役割でつながっていないから、自分の便利な面ばかり強調しなくてすむよね。資本主義市場における価値から抜け出して、学校のクラスメイトみたいに損得勘定抜きで仲良くできる。クラスメイトだったら「こいつ本当に仕事はできないだろうな」って人も大好きになれるじゃん。
村長:確かに、職場でそういう人を大好きになるのは難しいかもしれないね。
サディ:「役割抜きに人を好きになれる」ってすごく重要だと思っていて。社会のなかにそういう場所を持てるようにしたいし、そういう場所になるコミュニティを作りたいんだよね。
村長:大人になるとどうしても肩書からつながってしまうけど、コルクラボは「役割抜きに人を好きになれる場所」としての仕組みができているよね。特に敬語禁止の「タメ語ルール」がすごくいいと思う。私の本業はライターだけど、ライターとして今サディに質問していたら当然敬語だし、こういう距離感では話せないよ。
サディ:最初はみんな「難しい」って言ってたけどね(笑) 敬語は「これ以上距離は縮めません」ってサインにもなるから、タメ語は仲良くなるためのいいツールだと思う。
村長:私も、こうしてサディとタメ語で話せるようになって良かった! 年上のメンバーとも気軽に話せるし、仲良くなるスピードが速いと感じる。
■ノリで入ってみよう!
村長:最後に、新しいコミュニティに属する価値について教えてほしいな。
サディ:新しいコミュニティに属すると、また違った価値観に触れて「価値観は相対的なものでしかないんだ」って思えるから、人生の視野が広がるよ。ノリでいいから、とにかくコミュニケーションしてみればいいんだよ。
村長:うん、固定の価値観に縛られずに生きやすくなるよね。ノリでコルクラボに入って、ノリでサディとの対談に名乗り出てよかった! コルクラボのメンバーの価値観にもっと触れて、違いを楽しんでいこうと思うよ。