たったひとつだけを守れる勇気があれば
昔から要領が悪い子だった。
もともと自分が誰かよりも優れているものがなかった。幼稚園の頃、特別可愛くもない、運動はからきしダメ、不器用で折り紙も折れない、音楽もピアニカの鍵盤を押さえることも出来ない、そんな子だった。
母親が見かねて、小学校に上がった私に、毎日特別宿題補習をしてくれた。あまりにも何も出来なすぎて、勉強だけは出来るようにならせてあげたいって気持ちがあったのだろう。他の子が帰宅後誰かと放課後遊ぶのにも関わらず私は家で母親と勉強タイムだった。
母親の苦労のかい